妄想写真館01

アークスシップの居住区の地下には、幾千にも地下道が張り巡らされた空間がある。

「グス…グス… お母さん…」

軽い気持ちだった。

数人の友人と探検ごっこのつもりで、入り口の辺りまで覗いてみて、
そのまますぐに引き返すつもりだったのだけれど、
ポケットを入り口の壁面から飛び出る鉄骨に引っ掛けてしまって、
その拍子に今年の誕生日にお母さんからもらった、
大切な大切なブローチを不覚にも落としてしまった。

決して裕福でないうちの家計を切詰めて、
母がやっと買ってくれた綺麗なゴールドメッキのブローチ。

必死で探し求めているうちに、なんとかそれらしい手触りは確かめられた。

しかし真っ暗な地下道。
転げ落ちる様に段々と距離を離して行くそれを追いかける内に、少女は当然迷子になった。

不安でいっぱいだった。時間も時間だったこともあったのだけれど、
友人達には先に帰る様に促し、一人で探しに出たのが失敗だった。
自分が入って来た入り口もわからない。この先に出口があるのかもわからない。

しかしそんな時。

「君、こんなところで何してるの?」
「グス…?」
「迷子になったのかい?」
「…うん」
「一緒においで。外まで連れて行ってあげる」

目の前に立っていたのは、純白のボディーが眩しい大きな大きなキャストだった。
地下道の天壁から僅かに覗く外光に照らされて白く輝く彼の姿は、
少女の目に、王子様のように映った。